ユネスコ世界ジオパーク


 「ジオパーク」は、世界的に優れた地質や文化の遺産を知り、守り、生かすプログラムです。厳しい審査基準に基づいて認定されたユネスコ世界ジオパークからなるのが「世界ジオパークネットワーク(GGN)」です。世界ジオパークネットワークは2004年に設立され、41ヶ国147地域(2020年3月現在)が加盟し、そのうち9地域が日本にあります。

 これまでユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の支援事業として行われてきた世界ジオパークネットワークの活動が、「国際地質科学ジオパーク計画(International Geoscience and Geoparks Program:IGGP)」として、2015年11月のユネスコ総会でユネスコの正式プログラムになりました。

ユネスコ世界ジオパーク公式HP(英語)

ユネスコ世界ジオパークの主な特徴

 ユネスコ世界ジオパーク(以下、「世界ジオパーク」という)の主な特徴として、次の4つが挙げられます。いずれも世界ジオパークになるための必須条件であり、世界ジオパークネットワーク(GGN)が定める運営ガイドラインに基づいて審査されます。

※以下、ユネスコ公式HPより一部抜粋

価値のある地質遺産-Geological Heritage of International Value

 世界ジオパークになるための前提として、世界的に価値のある地質遺産を有していなければなりません。その価値については、各分野の専門家たちによって構成されている審査チームが審査を行います。

運営-Management

 世界ジオパークは、各国の法令で認められた組織によって管理されなければなりません。さらに、この運営組織はジオパーク内の全エリアを包括し、なおかつ地域の関係団体なども含めたものでなければなりません。また、世界ジオパークの運営には、各関係組織から承認された運営計画も必要です。

視覚化・可視性-Visibility

 世界ジオパークは、地質遺産を生かした「ジオツーリズム」を通じて地域の持続可能な経済発展を促進するものです。このジオツーリズムを推進するためには、世界ジオパークの見える化(可視性)が必要不可欠です。例として、世界ジオパークを訪れる人々がウェブサイトやパンフレット、マップなどからジオパークに関連する情報を手に入れることができるようにしなければなりません。

ネットワーク-Networking

 世界ジオパークは地域住民との連携だけでなく、他国の世界ジオパークとの連携も重要です。世界ジオパークネットワーク(GGN)やアジア太平洋ジオパークネットワーク(APGN)など国境を越えた国際的なネットワーク活動を通し、互いの活動状況や新たな取組などを共有することで、「世界ジオパーク」全体の質の向上につながります。さらに、このような活動を通して異文化に対する理解を深め、世界平和の実現にも貢献しています。

ユネスコ世界ジオパーク 10のキーワード

 世界ジオパークには10のキーワードがあります。世界ジオパークが行っている全ての活動は、これらいずれかのキーワードと関連しています。

※以下、ユネスコ公式HPより一部抜粋

天然資源-Natural Resources

 世界ジオパークは、水や森林、鉱物、地熱エネルギーなど、まさに大地の恵みともいえる天然資源の持続可能な活用を推奨しています。それと同時に、アースデー(Earth Day)や環境デー(World Enviro-
nment Day)などへ積極的に参加することで、私たちが住む地球の自然環境や大地に対して人々が関心をもち、敬意を払うように努めなければなりません。

防災-Geological Hazards

 世界ジオパークは、火山や地震、水害など自然災害に対する人々の意識向上を促進しています。学校での教育活動や地域住民向けのイベントなどを通して、災害を防ぎ、被害を軽減するための知識の普及を行っており、これらの活動を通じて災害に強いまちづくりを進めます。

気候変動-Climate Change

 世界ジオパークは、地球温暖化などの現在地球で起きている気候変動についての教育者、いわば先生のような存在です。さらに、世界ジオパークは気候変動が我々の生活にどのような影響をもたらすのかを示す屋外博物館のような機能も持ち合わせており、教育活動やイベントを通して人々の意識向上に努めています。

教育-Education

 世界ジオパークは、地質遺産の価値やそれらと私たちの生活とのつながりをすべての人々へ伝えるため、学校や子どもたちだけでなく、イベント等の教育プログラムを通じて大人にも学びの場を提供しています。

科学-Science

 世界ジオパークが有する地質遺産や地質多様性は、世界的にも非常に貴重で重要なものです。例えば、世界ジオパークは単なる博物館ではなく、大学などの学術機関と協力して研究を進める「研究所」でもあります。

文化-Culture

 世界ジオパークは「地球遺産の賛美と地域社会の持続」を目指しています。私たちの暮らしや伝統・文化、神話でさえ、地球があるからこそ形成されたといっても過言ではありません。地球とコミュニティ(地域社会)とのつながりによって生ずる相乗効果が新たな結果を生むと考えています。

女性-Women

 世界ジオパークは、女性を主体とする教育プログラムや組織の開発などを通して、女性の活躍を推進しています。例えば、宿泊先の運営など、彼女たち自身の取り組みで収入を得る機会を世界ジオパークが提供しています。また、民族衣装や工芸品、郷土料理など地域伝統品の宣伝や次の世代への継承も担っています。

持続可能な発展-Sustainable Development

 世界的に価値のある地質遺産があったとしても、その地域の持続可能な発展もしくはそれに関する計画がない限り、世界ジオパークであるとはいえません。例えば、ジオパークガイドの育成、遊歩道やサイクリングコースの整備、宿泊施設のレベルアップなども、地域社会の持続可能な発展につながります。

地域との関わり-Local and indigenous Knowledge

 地質遺産だけでなく、地域社会や地元住民も含めて世界ジオパークであり、それらを巻き込むことによって、地域住民とその土地の関わりや文化等の重要性の認識につながります。地域(人)との関わりは、世界ジオパークの重要な要素のひとつです。

保護・保全-Geoconservation

 地元住民や各関係機関などと協力しながら、各国・各地域の法令や、伝統に基づいて貴重な遺産を保護しています。また、ヒスイなどの鉱物や化石、動植物等の資源の採取・販売はジオパークの理念に反するため、原則として認められていません。

世界ジオパークと世界遺産の違い

 「世界ジオパーク」も「世界遺産」も同じユネスコの正式プログラムですが、下の表のとおり、対象や認定基準などが異なります。
 一番の大きな違いは、目的です。世界ジオパークは、価値のある遺産・文化を保護するとともに、教育科学の普及や地域振興にジオパークを活用する狙いがあります。一方で、世界遺産は貴重な自然や歴史的な建造物などを保護する狙いが強く、世界遺産と地域社会(=人)の関わりはあまり重要ではありません。
 例えば、世界ジオパークのキーワードのひとつに、持続可能な発展(Sustainable Developm-
ent)があります。世界ジオパークに一度認定されたからそれでいいというわけではなく、対象となるモノ(地質遺産や文化)を保護保全しながら活用し、持続可能な開発を進めていかなければなりません。

世界遺産 世界ジオパーク
対象 世界でここだけの価値(モノ) 価値のある大地の遺産(モノ)、
価値のある文化・伝統(ヒト)
目的 保護 保護と活用
(保護、教育科学の普及地域振興
認定審査 1回のみ 4年に1度の再審査
ユネスコとの関係 1972年11月 世界遺産条約
(ユネスコの正式プログラム)
2015年11月
ユネスコの正式プログラムへ昇格
開発 禁止 持続可能な開発のみ可能

ユネスコ世界ジオパークになるには?

 世界ジオパークになるためには、日本ジオパーク委員会(JGC)の推薦を受け、世界ジオパークネットワーク(GGN)による書類審査と現地審査に合格しなければなりません。
 また、「世界遺産」の認定審査は最初の1回だけですが、世界ジオパークは4年ごとに再認定審査があります。審査の結果は、グリーンカード(再認定)、イエローカード(条件付き再認定:再審査は2年後)、レッドカード(認定取り消し)の3種類で、審査時の指摘事項が次回までに改善されていないとイエローカードもしくはレッドカードになる場合もあります。

日本ジオパークネットワークHP内「ジオパークになるには」